アニータ・ムアジャーニ著「喜びから人生を生きる!」を読みました。
臨死体験については今までも聞いたり読んだりしたことがあったけれど、このアニータという人はどんな体験をしたのだろう?ということに興味がわいたためです。
これまで聞いたり読んだりして知っていた臨死体験は、体験中の様子だけが語られることが多かったですが、本書は少し違いました。
アニータが自身の臨死体験から学んだこと、そしてその経験を通じてどうやってより豊かな人生を生きるか、幸せになるかについて教えてくれます。
臨死体験とは、死に瀕した人が、肉体から離れた状態で、自分の意識が別の世界を旅する体験です。アニータは、癌の闘病中に臨死体験をしました。
臨死体験中、アニータは、美しい世界を目にします。
すでに他界した愛する人たちと再会し、向こう側の世界は愛と光に満ちた場所だと知りました。
その世界では、意識を向けたところへ瞬時に行くことができました。
同時になぜ自分はこのような人生を生き、病気になったのかもはっきりと知ることができたそうです。
病気は罰やカルマではなく、心に抱いている恐れなどが体に現れたもの。
臨死体験でわかった、“身体のある生活”がどのようなものかも教えてくれています。
アニータはこの臨死体験から、人生とは、本当はとてもシンプルなのだと言います。
本書は3つのパートに分かれています。
パート1では、アニータの生い立ちやインド人社会での経験、そして癌の診断を受けたことが書かれています。シンガポールで生まれて香港のインド人社会で育ったアニータ。女性はこうあるべきだという社会の中で自分を抑え偽って生きてきた日々が描かれています。
パート2では、治療の甲斐なく肉体から離れた後の体験と、この世に戻ってからの生活に焦点が当てられています。
そして、パート3では、アニータが臨死体験を通じて得た気づきについて語られています。
正直なところ、パート1と2は症状の描写や闘病の場面が辛かったです。
そのため読み返すときはパート3から始めることが多いです。
本書が他の体験談と異なる点は、単に体験を描写するだけでなく、どう生きるべきか、幸せになるための秘訣を示してくれている点です。
特に興味深かったのは、病気への恐れをどう克服するかという点でした。
ポジティブシンキングだけで恐れを乗り越えることは難しいことがあるようです。
私たちの潜在意識は自分でも気がつかない色々な恐れに満ちているからです。
特に病気についての話を聞くと、自分にも同じことが起こるのではないかと不安になるのは、普通の感情です。
でも、現実と捉えているこの世界は実は自分の意識の投影であることを理解すれば、恐れも半減するのではないでしょうか。
重要なのは、自分自身をどう表現するか、とのことです。
そのためには、まず自分自身を知ることが最優先ですね。
私が本当に望んでいることは?
私が本当に願っていることは?
それがわかればもう他のことに煩わされたり、恐れたりする暇はなくなるでしょう。
ただ、自分でいればいいだけなのですから。
著者のアニータは、「あらゆる問題がさほど大きなものには思えなくなりました。」と言います。
私たちは物事を深刻に考えすぎているそうです。
また、あの世についても触れられていました。
それは素晴らしく心地よい場所。
だから多くの人々がそこへと旅立って行ってしまうのですね。
家族など大切な人を亡くしても、あの世で愛に包まれて幸せに暮らしていると知れば、少しは悲しみも和らぐかもしれません。寂しいですけどね。
私の母が旅立ってもう20年以上になりますが、悲しみは癒えても寂しさは相変わらずです。いつも近くにいてくれてるのだろうなぁとは思いつつも。
向こう側へ行くか、こちらへ戻るかの選択肢はあるようです。
アニータの場合はエネルギーの境界線、日本でよく言われている三途の川。
そのあたりで亡くなった身近な人が現れていろいろお話をするみたいです。
時が来れば大好きな人たちと再会できるのです!
安心して精一杯生きましょうね!
さて、人生はとてもシンプルであり、祈ること、願うこと、許すこと、ポジティブシンキング、信念、恐れ、これらはぜんぶ必要ないとアニータは伝えています。
時間は過去も未来も現在も同時に存在しているので、ただ、今の瞬間がすべてです。
言葉ではうまく言い表せなくても、すべての時間が同時に存在していることが感覚でわかるそうです。
アニータの病気が治ったのは、心の状態や信念が変わったからではなく、真の魂が輝き始めたからだというのが彼女の気づきです。
「私は誰なのだろう? 何者なのだろう? どうやって私を表現したらいいのだろう?」
これらの問いに向き合い、自分自身を生きることが大切だと気づかせてくれる本でした。
人生はシンプル。喜び、笑いながら生きることが何よりも大切なのだと改めて感じました。
健康になるための生活習慣や、幸せになるためのいろんな法則みたいなのでがんじがらめになって、わけがわからなくなってしまっている人はたくさんいると思います。
そんな時は一度立ち止まって、この本を読んでみてください。
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